日本でも広がり始めたフィジカルAI――ロボットが現場で判断する時代へ

ここ最近、日本国内で「フィジカルAI」と呼ばれる分野への注目が一気に高まってきています。
フィジカルAIとは、AIがロボットの“頭脳”として働き、実際の現場で状況を判断しながら動く技術のことです。
これまで研究段階にある印象が強かった分野ですが、
2026年に入り、いよいよ実装や実用を前提とした動きが目立つようになってきました。

● フィジカルAIとは何か

従来のロボットは、決められた動作を正確に繰り返すことが得意でした。
一方でフィジカルAIでは、カメラやセンサーで周囲の状況を認識し、AIがその場で判断して行動を変えます。
人や障害物の位置を把握したり、環境の変化に応じて動きを調整したりできる点が特徴です。

生成AIや画像認識技術の進化によって、ロボットが「見て」「考えて」「動く」ことが現実的になりつつあり、
単なる自動化機械とは異なる存在として位置づけられています。

● 日本で実装が進み始めた理由

国内でフィジカルAIへの関心が高まっている背景には、いくつかの要因があります。
特に大きいのが、慢性的な人手不足や高齢化の問題です。
物流倉庫、製造現場、建設現場などでは、人の作業を補完する存在として、より柔軟に動けるロボットが求められています。

これまでの「人がロボットに合わせる」現場から、「ロボットが現場に合わせる」方向へと発想が変わりつつあることが、
フィジカルAIの追い風になっているように感じます。

● 製造・物流・インフラ分野での広がり

すでに国内では、自律走行する搬送ロボットや、人と並んで作業できる協働ロボットなどが、実際の現場で使われ始めています。
そこにAIを組み合わせることで、決められたルートや動作だけでなく、状況に応じた判断が可能になってきました。

また、点検や保守といったインフラ分野でも、危険な場所や人が入りにくい環境でロボットが活躍するケースが増えています。
こうした分野では、安全性の向上という点でもフィジカルAIの価値が評価されています。

● ヒト型ロボットへの関心も再燃

近年は、ヒト型ロボットへの関心も再び高まっています。
人と同じような形をしているからこそ、既存の設備や作業環境を大きく変えずに導入できる可能性があるためです。
AIによる判断能力が向上したことで、「人の代わりに現場で動く」という構想が、現実的な議論として語られるようになってきました。

もちろん課題は多いものの、研究開発だけでなく量産や実装を視野に入れた動きが出てきている点は、これまでとは違うフェーズに入ったことを示しています。

フィジカルAIは、AIが画面の中だけで完結する存在から、現実世界で価値を生み出す存在へと広がっていることを象徴する分野です。
日本国内でも、社会課題や産業構造の変化を背景に、ロボットが「判断しながら働く」未来が少しずつ現実になり始めています。

今後は、単にロボットを導入するかどうかではなく、「どの現場で、どのようにAIを組み合わせるか」が重要なテーマになりそうです。
フィジカルAIの動きは、これから数年の日本の産業を考える上で、見逃せないポイントと言えるでしょう。

水曜担当:Tanaka



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