2015年のAR開発事情
- 2015年12月22日
- AR
2012年頃、ARという技術が未来的な表現としてとても流行りました。
スマートフォンの普及とともに「新しい時代の到来!」という感じを直接的に感じさせてくれる技術でした。
最近では下火になっているARですが、機会があったので調べてみると2015年は大きな変革の年となっていました。
(画像は「ARToolKitについて | ARToolKitライブラリ」より)
Vuforia
ARを扱う案件があり、最初にいつも利用していた「Vuforia」というライブラリのサイトを見てみると、Qualcomm社からPTC社へ事業が売却されていました!?
サイトは簡素なデザインになっておりSDKもメジャーバージョンアップされていて、これに伴いライセンス形態なども変更されていました。
無料で商用利用可能な点は変わりありませんが、1日に1度Watermark(透かし)を表示しなくてはならないようになっています。
Watermark自体はあまり目立たない感じ()で悪くないです(わかりにくいですが半透明の白)。
また、1日に1度でいいので、さほどデザイン的には影響しないように思えますが、商用利用時は足かせになるかもしれません。
・・・実際にこの時の案件では、他のライブラリを使うことになりました。
ARToolKit
ARライブラリと言ったらなんと言ってもこれ。
このライブラリ無くして、今のARという分野は無かったと言っても過言ではない「ARToolKit」ですか、こちらにも大きな変化がありました。
こちらは販売元であったARToolworks社がDAQRI社に買収され、なんとオープンソース化されました!!
これにより、ARToolKitも無料で商用利用できるようになったのです。
機能自体も登場当時のような黒フチ正方形のマーカーだけではなく、マーカーレスと言われる画像からパターンを作成するタイプにも対応しています。
原点回帰でARToolKitという選択肢もアリになりました!
String
壁から竜が出てくる動画は有名で、よく目にしていたのですが、利用したことはなく調べてみました。
公式サイト、なにやらオシャレな画面ですが、必須とも言えるDownloadなどのメニューがありません。
これはひょっとして・・・サービスを終了していました。
2015年のコンテストは行っていたようなので、やはりこちらも2015年に終了した模様です。
Metaio及びJunaio
今回の案件とは関係無かったのですが、ARの有名どころということで調べました。
上記のライブラリとは異なり、専用ブラウザ「Junaio」を利用することで、簡単にARアプリが作れる「ブラウザ型」としてメジャーだった「Metaio」ですが、こちらはなんとAppleに買収され、そのままサービスを停止してしまったようです。
今のところAppleはこれらの技術を使用したサービスは展開していません。
Appleが定評のある拡張現実スタートアップMetaioを買収していた
http://jp.techcrunch.com/2015/05/29/20150528apple-metaio/
しかし、そこに目をつけたサイバネット社が「cybARnet(サイバー・エーアール)」というJunaioコンテンツをそのまま移行できるサービスを展開しているようです。
素晴らしい!
http://www.cybernet.co.jp/ar-vr/products/csc-ar/cybarnet.html
今後
ARについての記事などを見ていると、多くは2012〜2013年のものが多いので、その頃が最盛期だったのでしょう。
冒頭にも書いたように現在ARは下火と言っていいでしょう。
ただ、入れ替わるように盛んになってきたのが、ヘッドマウントディスプレイを利用したVR技術。
現実世界にバーチャルを投影するARとは逆に、バーチャル世界に自分が入り込むのがVRです。
しかし、扱っている技術としては近いものもあります。
Appleなどが買収したのは、おそらくこちらに技術を活用するのが目的ではないかと思います。
また、自動運転車への転用も考えられます。
今後は基礎技術として、様々な新しい技術を支えていくのかもしれません。
Yohei at 2015年12月22日 03:45:52